はるか
有界な集合の話か。集合に対して上界と下界を見つけることが重要だね。
ふゅか
そうそう!集合のすべての要素がある数以下だったら、それを上に有界って言うんだよね。逆は、下に有界って言うね!
1. 有界な集合
1.1. 上界
集合
S に含まれるすべての数が、ある一つの数
K 以下であるとき、
S は上に有界であるといい、その
K を上界と呼びます。
Sの任意の要素を
xとすると、
x≤K
上界の最小値を上限といいます。
はるか
上限は上界の最小値。全ての上界の中で一番小さいものを見つけるのがポイント。
1.2. 下界
集合
S に含まれるすべての数が、ある一つの数
k 以上であるとき、
S は下に有界であるといい、その
k を下界と呼びます。
Sの任意の要素を
xとすると、
x≥k
下界の最大値を下限といいます。
はるか
下界はそれと逆で、集合のすべての要素がある数以上だったら、それを下に有界と言う。
1.3. 有界
集合
S が上に有界であり、かつ下に有界である場合、
S を有界な集合と呼びます。
Sの任意の要素を
xとすると、
k≤x≤K
2. 有界な集合の例題
2.1. 例題1
集合
A={x∣x∈R,1≤x<5} が有界であるか、上界と下界が存在するか判定してください。
集合 A の要素は x<5 なので、任意の x≥5 が上界になります。したがって、最小の上界(上限)は supA=5 です。
集合 A の要素は x≥1 なので、任意の x≤1 が下界になります。したがって、最大の下界(下限)は infA=1 です。
集合 A は上界と下界が存在するので、有界です。
2.2. 例題2
集合
B={x∣x∈R,x2<4} が有界であるか、上界と下界が存在するか判定してください。
条件 x2<4 から、−2<x<2 です。したがって、集合 B の上限は supB=2 であり、下限は infB=−2 です。
集合 B は上界 と下界 が存在するので、有界です。
2.3. 例題3
集合
C={x∣x∈N,x>0} が有界であるか、上界と下界が存在するか判定してください。
自然数全体の集合であり、最大の数が存在しないため上界は存在しません。したがって、上限はありません。
一方、自然数の中で最小の数は 1 であり、これは下限です。したがって、集合 C の下限は infC=1 です。
集合 C は上界が存在しないため、無界です。
2.4. 例題4
集合
D={x∣x∈R,−3≤x≤2} が有界であるか、上界と下界が存在するか判定してください。
集合 D の最大の数は 2 なので、上限は supD=2 です。
集合 D の最小の数は −3 なので、下限は infD=−3 です。
集合 D は上界と下界が存在するので、有界です。
3. 有界な数列
3.1. 数列の有界性
数列 {an} が有界であるとは、正の定数 K が存在して
∣an∣<K(n≥1)
を満たすことを指します。つまり、全ての n≥1 に対して ∣an∣ が定数 K 以内に収まることを意味します。
3.2. 有界な数列
有界な数列は、値が一定の範囲内に収まるものを指します。

3.3. 有界でない数列
有界でない数列は、例えば無限に遠くへ飛んでいく感じです。

4. 数列の例題
4.1. 例題1
数列
{an} を次のように定義します。
an=n1(n≥1)
- この数列の上限と下限を確認しなさい。
- 数列が有界かどうかを判定しなさい。
- 数列 an=n1 の上限は、最初の項 a1=1 であり、下限は数列が無限に進むにつれて値が 0 に近づくため 0 です。
- 上限と下限がともに存在するため、この数列は有界です。

4.2. 例題2
数列
{bn} を次のように定義します。
bn=(−1)n⋅n(n≥1)
- この数列の上限と下限を確認しなさい。
- 数列が有界かどうかを判定しなさい。
- 数列 bn=(−1)n⋅n の場合、奇数 n のとき bn は負の値をとり、偶数 n のとき bn は正の値をとります。そして、正の値は常に増加し、負の値は常に減少する。したがって、上界と下界は次のようになります。
- 上限も下限も存在しないため、この数列は有界ではありません。

4.3. 例題3
数列
{an} を次のように定義します。
an=128n(n≥1)
- この数列の上限と下限を確認しなさい。
- 数列が有界かどうかを判定しなさい。
- 数列 an=128n の場合、n が増加すると an の値も無限に増加します。
- 上限:存在しない(数列は正の無限大に発散します)
- 下限:n=1 のとき、最小値 a1=128 です。
- 上限が存在しないため、この数列は上に有界ではありません。しかし、下限は 128 であるため、下に有界です。

5. 有界な関数
5.1. 関数の有界性
関数
f が有界であるとは、ある
K>0 が存在して、
∣f(x)∣<K,x∈A
が成り立つことです。つまり、関数の絶対値∣f(x)∣ が定数 K 以内に収まることを意味します。
5.2. 有界な関数
有界な関数は、グラフが一定の範囲内に収まるものを指します。

5.3. 有界でない関数
有界でない関数は、数列と同様に無限に遠くへ飛んでいく感じです。

6. 有界な関数の例題
6.1. 例題1
関数
f(x)=1+x2x の上限と下限を求め、その関数が有界かどうかを判定してください。
f′(x)=(1+x2)21–x2 を計算し、f′(x)=0 を解きます。
1–x2=0 なので、x=±1 が得られます。
極値の計算を行うと次のようになります。
f(1)=21
f(−1)=−21
これらの点と x→±∞ の極限を確認します。
極限の計算を行うと次のようになります。
x→∞lim1+x2x=x→∞lim1+x21x1=0
x→−∞lim1+x2x=x→−∞lim1+x21x1=0
増減表を書くと次のようになります。

したがって、上限と下限は次のようになります。
上限: 21
下限: −21
関数の上限が 21、下限が −21 であり、∣f(x)∣≤21より、これらの範囲内で f(x) のすべての値が存在するので、この関数は有界です。

6.2. 例題2
関数
f(x)=x2 の上限と下限を求め、その関数が有界かどうかを判定してください。
この関数の値は常に非負であり、最小値は x=0 のときに取られます。
極限の計算を行うと次のようになります。
x→∞limx2=∞
x→−∞limx2=∞
最小値の計算を行うと次のようになります。
f(0)=0
上限と下限については次のようになります。
下限: 0
上限: 存在しない
下に有界ではあるが、この関数は有界ではありません。
