【物理】変位・速度・加速度の意味、単位について



1. 変位とは?
1.1. 変位の定義
変位とは、物体の位置の変化を表す量です。スタート地点から終点までの「直線距離」と「方向」を持つベクトル量です。
1.2. 距離との違い
- 距離:移動した経路の長さ(スカラー量)
- 変位:開始点と終了点を結ぶ直線の長さと方向(ベクトル量)
例:家から学校まで曲がりくねった道を1km歩いた場合
- 距離:1km
- 変位:家から学校までの直線距離とその方向
2. 速度とは?


2.1. 速度の定義
速度とは、単位時間あたりの変位、つまり物体がどれだけの距離をどの方向に移動したかを示す量です。速度はベクトル量であり、大きさ(速さ)と方向の両方を持ちます。このため、単に「速い」や「遅い」だけでなく、「どちらの方向に動いているか」を明確に表します。
2.2. 平均の速度
$$ v = \dfrac{\Delta x}{\Delta t} $$
ここで、
- \( v \) は速度(m/s)
- \( \Delta x \) は位置の変化量(メートル)
- \( \Delta t \) は時間の変化量(秒)
2.3. 瞬間の速度
$$ v = \lim_{\Delta t\to 0}\dfrac{\Delta x}{\Delta t} =\frac{dx}{dt}$$

2.4. 速さと速度の違い
「速さ」と「速度」は、異なる概念です。主な違いは、速さはスカラー量であり、速度はベクトル量である点です。
例:物体が東に10m/sで移動した場合
- 速さ:10m/s(どの方向かは問わない)
- 速度:東向きに10m/s(速さと方向を示す)
3. 加速度とは?


3.1. 加速度の定義
加速度とは、速度が時間とともにどれだけ変化するかを表す量です。単に速度が速くなるか遅くなるだけでなく、速度の向きがどう変化しているかも含めて考えます。つまり、加速度は速度の変化の割合を示し、速度がどのように変わるか(大きさや方向の変化)を表す指標です。
3.2. 平均の加速度
$$ a = \dfrac{\Delta v}{\Delta t} $$
ここで、
- \( a \) は平均の加速度(m/s²)
- \( \Delta v \) は速度の変化量(m/s)
- \( \Delta t \) は時間の変化量(秒)
3.3. 加速度の例
例えば、物体が0秒から5秒の間に速度が0 m/sから20 m/sに変化した場合、その加速度は次のように計算できます。
$$ \text{平均の加速度} = \dfrac{20\ \text{m/s} – 0\ \text{m/s}}{5\ \text{秒} – 0\ \text{秒}} = 4\ \text{m/s}^2 $$
つまり、この物体は1秒ごとに4 m/sの割合で速度が増加していることを意味します。
3.4. 瞬間の加速度
$$ a = \lim_{\Delta t\to 0}\dfrac{\Delta v}{\Delta t} = \dfrac{dv}{dt} = \dfrac{d^2x}{dt^2} $$
ここで、\( \dfrac{dv}{dt} \) は速度の時間に対する変化率(加速度)を示し、さらに \( \dfrac{d^2x}{dt^2} \) は位置の時間に対する2階微分で、物体の位置の変化がどれだけ急激に起きているかを示しています。
3.5. 正の加速度と負の加速度
- 正の加速度:速度が増加している状態を指します。例えば、車がどんどん速くなっている場合、その車は正の加速度を持っています。
- 負の加速度(減速度):速度が減少している状態、つまり減速していることを指します。例えば、ブレーキをかけて車が止まるときには、負の加速度が働いています。