はるか
ふゅか
1. シルベスターの数列とは
シルベスターの数列
{an}は、次のような漸化式になります。
a1=2an+1=an2–an+1
この漸化式によって、シルベスターの数列(Sylvester’s sequence) an が以下のように計算されます。
1. a1=2
2. a2=22–2+1=4–2+1=3
3. a3=32–3+1=9–3+1=7
4. a4=72–7+1=49–7+1=43
5. a5=432–43+1=1849–43+1=1807
このように、次の項を計算することができます。
2. シルベスターの数列の性質
2.1. 漸化式が積の形になる
シルベスターの数列
{an}の漸化式は
an+1=k=1∏nak+1となる。
はるか
ふゅか
うん、確かに!
an+1=∏k=1nak+1 っていう形だよね。
数学的帰納法を利用して証明します。
n=1のとき、次の項 a2 は次のようになります。
a2=a12–a1+1=22–2+1=4–2+1=3
また、漸化式より、a2は次のようになります。
a2=22–2+1=4–2+1=3
n=k のときに ak+1=∏i=1kai+1 であると仮定します。
次に、n=k+1 のときの式を考えます。ak+2 は以下のように表されます。
ak+2=ak+12–ak+1+1
ここで、仮定により ak+1=∏i=1kai+1 ですので、ak+2 を次のようになります。
ak+2=(i=1∏kai+1)2–(i=1∏kai+1)+1
=(i=1∏kai)2+2i=1∏kai+1–i=1∏kai–1+1
=i=1∏kai×(i=1∏kai+1)+1
となります。ak+1=∏i=1kai+1より、
ak+2=i=1∏kai×ak+1+1
∴ak+2=i=1∏k+1ai+1
となります。
よって、n=k+1 の場合にも、与えられた漸化式 が成り立ちます。したがって、数学的帰納法により、与えられた数列が次の形で表されることが証明されました。
an+1=k=1∏nak+1
2.2. 逆数の和
シルベスター数列
an について、以下の等式を示します。
a11+a21+⋯+an1=1–k=1∏nak1
ここで、∏k=1nak は a1×a2×⋯×an を表す積の記号です。
数学的帰納法を利用して証明します。
まず、初項 n=1 の場合を考えます。この場合、a1=2より、式は次のようになります。
a11=1–a11
この等式は明らかに成り立ちます。
次に、n=k に対して次の等式が成り立つと仮定します。
a11+a21+⋯+ak1=1–∏i=1kai1
n=k+1 のとき、式は次のようになります。
a11+a21+⋯+ak1+ak+11
仮定より、次のように変形します。
=(1–∏i=1kai1)+ak+11
次に、先ほど示したシルベスター数列の性質 ak+1=∏i=1kai+1 を利用します。これにより、
=1–i=1∏kai1+i=1∏kai+11
=1+i=1∏k+1ai−i=1∏kai–1+i=1∏kai
=1–i=1∏k+1ai1
これにより、n=k+1 でも等式が成り立つことが示されました。
したがって、数学的帰納法により次の等式が成り立つことが証明されました。
a11+a21+⋯+an1=1–k=1∏nak1
はるか
逆数の和が
1–∏k=1nak1 にもなる。
2.3. エジプト分数
自然数の組
(a1,a2,…,an) が、
k=1∑nak1<1 の条件を満たしつつ、その和を最大にする。このとき、自然数の組はシルベスターの数列になる。
はるか
さらに、この数列はエジプト分数の組み合わせにも使われる。
ふゅか
そうそう!自然数の組み合わせで、和が1未満で最大の値を取るとき、それがシルベスターの数列になるんだよね!例えば、
a1=2,
a2=3のときとか。
以下に、具体的な例を挙げて解説します。
n=2 の場合
a11+a21<1
この条件を満たす自然数 a1<a2 を求めると、最大値は a1=2, a2=3 のときです。このときの和は
21+31=65
となります。
n=3 の場合
a11+a21+a31<1
この条件を満たす自然数 a1<a2<a3 を求めると、最大値は a1=2, a2=3, a3=7 のときです。このときの和は
21+31+71=4241
となります。