LaTeXの矢印コマンド一覧!使い方と活用例をわかりやすく紹介

LaTeX(TeX)で数学の証明や図示をするとき、矢印は必須の記号のひとつです。矢印を上手に使いこなすと、論理の流れや写像関係などを分かりやすく表現できます。この記事では、LaTeXで使用できる代表的な矢印コマンドと、その応用方法をご紹介します。


1. 基本の矢印コマンド
LaTeXでは、数式モード(インライン数式: \( ... \)
や $ ... $
、ディスプレイ数式: \[ ... \]
)で矢印コマンドを入力するのが一般的です。まずは、よく使う基本的なコマンドを見ていきましょう。
- 右向き矢印:コマンド:
\rightarrow
表示例:\(\rightarrow\) - 左向き矢印:コマンド:
\leftarrow
表示例:\(\leftarrow\) - 二重線の右向き矢印:コマンド:
\Rightarrow
表示例:\(\Rightarrow\) - 二重線の左向き矢印:コマンド:
\Leftarrow
表示例:\(\Leftarrow\) - 左右両向き矢印:コマンド:
\leftrightarrow
表示例:\(\leftrightarrow\) - 左右両向き二重線矢印:コマンド:
\Leftrightarrow
表示例:\(\Leftrightarrow\) - 長い右向き矢印:コマンド:
\longrightarrow
表示例:\(\longrightarrow\) - 長い左向き矢印:コマンド:
\longleftarrow
表示例:\(\longleftarrow\) - 長い二重線の右向き矢印:コマンド:
\Longrightarrow
表示例:\(\Longrightarrow\) - 長い二重線の左向き矢印:コマンド:
\Longleftarrow
表示例:\(\Longleftarrow\)

\Rightarrow
と\rightarrow
って何が違うの?
\Rightarrow
の方が強調される。2. map矢印・フック矢印
数学の写像などを表すときに便利なのが map矢印 や フック矢印 です。特に、写像を定義するときには \mapsto
を使うのが定番です。
- 対象を写像する矢印:コマンド:
\mapsto
表示例:\(\mapsto\) - フック矢印(右からフックがかかった形):コマンド:
\hookrightarrow
表示例:\(\hookrightarrow\) - 左向きのフック矢印:コマンド:
\hookleftarrow
表示例:\(\hookleftarrow\)
典型的な利用例として、写像 \( f: X \to Y \) を明示的に表現する際に、下記のように書きます。
\( f: X \mapsto Y \)
3. 文字をのせる矢印(\xrightarrow と \xleftarrow)
amsmath
パッケージを読み込むと、矢印の上や下に文字をのせるコマンドが使えます。主に \xrightarrow
と \xleftarrow
が有名です。
- プリアンブル(
\documentclass
の後ろ付近)に以下を追加:\usepackage{amsmath}
- 実際の使用例:
\[ A \xrightarrow{\text{写像}} B \]
\[ A \xleftarrow{\text{帰納}} B \]
こうすることで、矢印の上に簡単なラベルを付けることができます。証明途中の「帰納」や「写像」など、論理の流れをわかりやすく示したいときに便利です。
4. テキスト中で矢印を使うには
LaTeXのテキストモード(本文を書く通常の部分)では、標準フォントに矢印の文字が含まれていないことが多いため、数式モードを使って矢印を表示するのが手軽です。本文中に矢印を入れたいときは、インライン数式 \( ... \)
あるいは $ ... $
を使いましょう。
これは $\rightarrow$ で結ばれます。
パッケージによっては直接矢印が使える場合もありますが、数式モードなら確実に正しい形の矢印が表示できます。
5. その他の矢印コマンド
LaTeXにはまだまだいろいろな矢印記号が用意されています。amssymb
や stmaryrd
などのパッケージを読み込むと、さらに多彩な矢印が使えるようになります。たとえば、
- 二重の右向き矢印:
\rightrightarrows
→ \(\rightrightarrows\) - 二重の左向き矢印:
\leftleftarrows
→ \(\leftleftarrows\) - 両向き矢印の組み合わせ:
\leftrightarrows
→ \(\leftrightarrows\) - くねった右向き矢印:
\rightsquigarrow
→ \(\rightsquigarrow\)