はるか
ふゅか
1. 2変数の相加相乗平均
a≧0,b≧0のとき、
2a+b≧ab
等号成立条件はa=bの時である。
2. 相加相乗平均の証明
2.1. 計算して相加相乗平均を証明する
まず、a≥0、b≥0 であるとき、次の式を考えます。
a+b−2ab=(a−b)2≧0
この結果、次のような不等式が導かれます。
a+b∴ 2a+b≧2ab≧ab
∴2a+b≧ab
また、等号成立条件は
(a−b)2=0
より、a=bのときである。
3. 相加相乗平均の視覚化
円と線分を使って、相加相乗平均を視覚的に理解する方法を紹介します。
まず、oを中心とする円を描きます。視覚的に、abと2a+bの大小関係がわかります。一方で、この円の直径と垂直に交わる線分がabである理由を考えてみます。
はるか
ふゅか
うん、円と線分を使って視覚化できるよ!中心を
O とする円を描いてみて。
3.1. 方べきの定理を用いた証明

x>0 のとき、方べきの定理により次の式が成り立ちます。
x2∴ x=ab=ab
3.2. 三平方の定理を用いた証明

x>0 のとき、三平方の定理を用いて次のように証明します。
x2x2⇔ x2∴ x=(2a+b)2−(2b−a)2=4a2+2ab+b2−(a2−2ab+b2)=ab=ab
4. 相加相乗平均の例題
はるか
ふゅか
4.1. 例題1
x>0 のとき、式
x+x9 の最小値を求めよ。
相加相乗平均の不等式より、
x+x9≥2x⋅x9=29=6
等号が成立するのは x=x9 のとき、すなわち x2=9 であり、x>0 より x=3。
したがって、最小値は 6 で、x=3 のときに等号が成立する。
4.2. 例題2
x>2 のとき、式
x+x−29 の最小値を求めよ。
まず、x>2 より x−2>0。相加相乗平均の不等式を x−2 と x−29 に適用すると、
2+(x−2)+x−29≥2+2(x−2)⋅x−29=2+29=8
等号が成立するのは x−2=x−29 のとき、すなわち (x−2)2=9 であり、x−2>0 より x−2=3、したがって x=5。
最小値は 8 で、x=5 のときに等号が成立する。
4.3. 例題3
x>0 のとき、式
(x+x2)(x+x1)の最小値を求めよ。
まず、式を展開する
(x+x2)(x+x1)=x2+x⋅x1+x2⋅x+x2⋅x1=x2+1+2+x22
まとめると、
x2+x22+3
ここで、x>0 なので相加相乗平均の不等式を x2>0 と x22>0 に適用すると、
x2+x22≥2x2⋅x22=22=22
したがって、
x2+x22+3≥22+3
最小値は 3+22 で、等号が成立するのは x2=x22、すなわち x4=2 のとき。x>0 より x=42。
4.3.1. 注意
(x+x2)(x+x1)に対して、それぞれの相加相乗平均を考えると、
(x+x2)≧22
(x+x1)≧2
として、最小値はその積
(x+x2)(x+x1)≧42
とするのは間違いです。なぜなら、等号成立条件がそれぞれ x=2,x=1となるので、等号が成り立つとき、つまり最小値は42になることはありません。このことから、等号成立条件をチェックする必要性があることがわかります。
4.4. 例題4
x>2 のとき、式
x2−2x2+9 の最小値を求めよ。
はるか
まず、x>2 より、x2−2>0 となり、分母は定義されます。
変数変換として、t=x2−2 と置きます。すると、t>0 です。
このとき、
t2=x2−2
x2=t2+2
これを元の式に代入すると
x2−2x2+9=t(t2+2)+9=tt2+11=t+t11
したがって、問題は f(t)=t+t11 の最小値を求めることに帰着されます。ただし、t>0 です。
相加相乗平均の不等式より、
t+t11≥2t⋅t11=211
等号が成立するのは、
tt2t=t11=11=11
(t>0 より)
元の変数 x に戻すと、
x2−2x2−2x2x=11=11=13=13
(x>2 より、x=13)
最小値は、
f(t)=t+t11=11+1111=11+11=211
したがって、求める最小値は 211 であり、x=13 のときに等号が成立する。
5. 相加相乗平均の一般化
ai (i=1.2.3⋯ n)がai>0を満たすとき、
n1i=1∑nai≥ni=1∏nai
na1+a2+…+an≥na1a2…an
具体的に書くとこうなります。
となる。
等号成立条件はa1=a2=a3=⋯=anとなる。これはAM-GM不等式とも呼ばれています。