はるか
ふゅか
知ってるよ!ナブラ記号でしょ?数学とか物理でよく使われる記号だよね。
1. ナブラ∇
∇(ナブラ、あるいはデル)は、数学や物理学で使用される特別な記号で、多くの分野で役立つ概念です。この記号は、ベクトル演算の一種を表すもので、勾配、発散、回転といった計算に使われます。
1.1. ∇とベクトル
3次元の場合は、∇は次のような成分で構成される微分演算のベクトルと考えられます。
∇=(∂x∂,∂y∂,∂z∂)
この形を見ると、∇は通常のベクトルと同じように x 軸、y 軸、z 軸方向の成分を持っていますが、それぞれの成分は「微分の操作」を意味しています。
ふゅか
例えばさ、∇ってベクトルみたいに成分を持ってるんだよね!
はるか
1.2. グラディエント(∇f)
スカラー場に対して∇を適用すると、勾配(グラディエント)と呼ばれるベクトルが得られます。
関数
f(x,y,z) の勾配は、次のように表されます。
∇f=gradf=(∂x∂f,∂y∂f,∂z∂f)
勾配は、特定の地点で値がどの方向に増加するかを示します。

1.3. ダイバージェンス(∇・F)
ベクトル場に対して∇を「・(ドット積)」とともに適用すると、その場がどれだけ「発散」しているかを示すスカラーが得られます。
ベクトル場
F=(Fx,Fy,Fz) に対しては、次のように表されます。
∇⋅F=divF=∂x∂Fx+∂y∂Fy+∂z∂Fz
ダイバージェンスは、流れで言えば、ある地点で流体が「流れ出ている」か「流れ込んでいる」かを示します。

1.4. カール(∇×F)
ベクトル場に対して∇を「×(クロス積、外積)」とともに適用すると、その場の「回転」や「うねり」の強さを示すベクトルが得られます。
ベクトル場
F=(Fx,Fy,Fz) に対しては、次のように表されます。
∇×F=rotF= (∂y∂Fz–∂z∂Fy,∂z∂Fx–∂x∂Fz,∂x∂Fy–∂y∂Fx)
回転は、特定の点でどの程度の回転があるかを示します。

2. ラプラス作用素
ラプラス作用素(Laplacian)は、数学や物理学において多くの応用を持つ微分演算子です。特に物理学での熱や波の伝播、電磁場の分布などを扱う際に重要です。ラプラス作用素は、関数のパラメーターの2階微分を合計したもので、多くの場合「∇2」や「Δf」と表記されます。
はるか
ふゅか
2.1. 2変数の場合
例えば、2変数関数
f(x,y)のラプラス作用素は次のように定義されます。
Δf=∇2f= ∂x2∂2f+∂y2∂2f
この式では、f の各変数 x と y に対して2階微分を行い、その結果を足し合わせています。
2.2. n変数の場合
例えば、
n変数関数
f(x1,x2,⋯,xn)のラプラス作用素は次のように定義されます。
Δf=∇2f= ∂x12∂2f+∂x22∂2f+⋯+∂xn2∂2f
2.3. 微分演算子を利用した表現
微分演算子、divとgradを使って、ラプラス作用素を表すことができます。
Δf=divgradf
ラプラス作用素 Δf=divgradf を展開してみましょう。ここでは、勾配(grad)をまず計算し、それを発散(div)で再度適用することでラプラス作用素の展開を行います。まず、関数 f(x,y,z) に対して勾配 gradf を求めます。
gradf=(∂x∂f,∂y∂f,∂z∂f)
次に、この勾配ベクトルに発散を適用します。発散は、勾配の各成分を再び微分し、それらを合計する操作です。したがって、ラプラス作用素は次のように展開されます。
Δf=div(∂x∂f,∂y∂f,∂z∂f)=∂x∂(∂x∂f)+∂y∂(∂y∂f)+∂z∂(∂z∂f)
各成分の微分を計算して、最終的なラプラス作用素を次のように表せます。
Δf=∂x2∂2f+∂y2∂2f+∂z2∂2f
3. ラブラスの微分方程式
また、ラプラスの微分方程式は、次のように数式で表すことができます。
Δf=0
関数 f は「調和関数」と呼ばれます。
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