更新:2024/11/24

複素数平面上の図形とベクトルの意味・例題について

はるか
はるか
複素数の計算って、なんかベクトルと似ている気がする。
ふゅか
ふゅか
そうね、複素数をベクトルのように考えて図形的に考えることもできるからね!

1. 複素数のベクトル的な考え方

複素数を$\alpha,z$とする。このとき、$z-\alpha$は複素数平面上では$\alpha$から$z$を表しています。
はるか
はるか
ようは、ベクトルのようなもの。

複素数はベクトル

そのため、$|z-\alpha|$は$\alpha$から$z$までの距離を表します。

例えば、

$|z-\alpha|=r$

は$\alpha$から$z$までの距離がr(一定)になっているということを表します。

1.1. 図形的に考える例題

$z$を複素数としたときに、$z$を複素数平面上で図示せよ。$i$は虚数単位とする。
$(1) |z+1|=|z-i|$

$(2) |z+3i|=3$


$(1)$ $-1$から$z$までの距離とiからzまでの距離が等しいという図形である。
距離が等しいというイメージは以下のようになります。

直線のイメージ

そのため、直線であることがわかるから以下のようになります。

はるか
はるか
$-1$から$z$までの距離と$i$から$z$までの距離が等しいから、直線になる。

$(2)$  $-3i$から$z$までの距離が$3$である図形である。
イメージは以下のようになります。

円のイメージ
そのため、$-3i$を中心とする半径3の円であることがわかるから以下のようになります。

2. ベクトル的な考えができる理由

この疑問は計算的に考えると解決することができます。
ベクトルについてまず考えます。

$\vec{OA}=\begin{bmatrix} a_1 \\ a_2 \\ \end{bmatrix}$$\vec{OB}=\begin{bmatrix} b_1 \\ b_2 \\ \end{bmatrix}$とする。

$\vec{AB}=\vec{OB}-\vec{OA}$

$=\begin{bmatrix} b_1-a_1 \\ b_2-a_2 \\ \end{bmatrix} $

単位ベクトル$e_1=\begin{bmatrix} 1 \\ 0 \\ \end{bmatrix}$、$e_2=\begin{bmatrix} 0 \\ 1 \\ \end{bmatrix}$を用いて表すと、

$\vec{AB}=\begin{bmatrix} b_1-a_1 \\ b_2-a_2 \\ \end{bmatrix} $

$=(b_1-a_1)e_1+(b_2-a_2)e_2$

次に複素数について考えます。虚数単位を$i$とします。
複素数$a,b$を以下のようにあらわすとする。

$a=a_1+a_2i$

$b=b_1+b_2i$

このとき、$a_1,a_2,b_1,b_2$は実数である。

$b-a=(b_1-a_1)+(b_2-a_2)i$

ベクトルで似たような形の数式が出てきましたよね。では、ベクトルは成分表示されているので、複素数の成分表示を考えてみましょう。

ここで、単位ベクトル$e_r=\begin{bmatrix} 1 \\ 0 \\ \end{bmatrix}$、$e_i=\begin{bmatrix} 0 \\ i \\ \end{bmatrix}$を用いて表すと、$b-a$の成分は以下のようにあらわすことができます。

$(b_1-a_1)e_r+(b_2-a_2)e_i$

$=\begin{bmatrix} b_1-a_1 \\ b_2-a_2 \\ \end{bmatrix} $

$b_1-a_1$は実軸の成分、$b_2-a_2$は虚軸の成分と考えることができる。

また、複素数平面は虚軸と実軸で構成されています。虚軸は純虚数のみで構成されているため$e_i$を実数倍すると、虚軸を表すことができます。実軸も同様にすることができます。

複素数平面

$e_i$と$e_r$の内積は0になるため、垂直に交わっているので、$e_i$と$e_r$は複素数平面を表すことができます。

$e_i\cdot e_r=0$

だから、複素数平面でもベクトルのような考えをすることができます。