更新:2025/05/02

ホワイトノイズ(白色雑音)とは?時系列解析の基本性質とその証明をやさしく解説

1.  ホワイトノイズとは?

ホワイトノイズ(white noise)は、時系列解析で「完全にランダムな誤差項」をモデル化するときに使われます。これは攪乱項と呼ばれます。色のついていない光(白色光)がすべての波長を均等に含むように、ホワイトノイズはすべての周波数成分が等しく含まれる信号を意味します。

数学的には、時系列 {Ut}tZ\{U_t\}_{t\in\mathbb{Z}} が次を満たすとき「ホワイトノイズ」と呼びます。

  1. 平均がゼロE[Ut]=0 E[U_t]=0
  2. 分散が一定(有限)Var(Ut)=σ2(0<σ2<) \operatorname{Var}(U_t)=\sigma^{2}\quad (0<\sigma^{2}<\infty)
  3. 異なる時点どうしは無相関(異なる時点の自己共分散が0)Cov(Ut,Uth)=0(すべての h0) \operatorname{Cov}(U_t,U_{t-h})=0\quad (\text{すべての }h\neq0)

注: 3 の「無相関」は「独立」とは限りません。ただし 正規分布(ガウス) を仮定すれば、無相関→ 独立 が成り立つため Gaussian white noise はしばしば「独立同分布(i.i.d.)N(0,σ2)N(0,\sigma^2)」と説明されます。

ふゅか
ふゅか
ホワイトノイズって、ただの雑音じゃないの!
はるか
はるか
確率的にも、平均ゼロで分散一定で…あと無相関。

2. ホワイトノイズの性質

2.1. 平均がゼロ

平均ゼロの便利さを補足します。

  • モデルの切片(定常成分)と誤差項を分離できる
  • 移動平均(MA)や自己回帰(AR)モデルで期待値計算が簡潔になる

2.2.  無相関性の証明

異なる時点 tst\neq s に対して

Cov(Ut,Us)=E ⁣[(Ut ⁣0)(Us ⁣0)]=E[UtUs] \operatorname{Cov}(U_t,U_s) =E\!\big[(U_t-\!0)(U_s-\!0)\big] =E[U_tU_s]

ホワイトノイズの定義より E[UtUs]=0E[U_tU_s]=0

まとめると

γ(h)=Cov(Ut,Uth)={σ2(h=0)0(h0) \gamma(h)=\operatorname{Cov}(U_t,U_{t-h})= \begin{cases} \sigma^{2} & (h=0)\\ 0 & (h\neq0) \end{cases}

2.3. パワースペクトルがフラット(周波数領域の性質)

自己共分散のフーリエ変換がパワースペクトル密度(PSD)

W(ω)2==σ2 |W(\omega)|^2= =\sigma^{2}

すべての ω\omega で一定 。

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