はるか
ふゅか
うん、知ってる!数列の積の和を分解して計算する公式よね。部
1. アーベルの総和公式
アーベルの総和公式は、数列 {ak} と {bk} の積の和を、部分和 Ak と数列 bk に基づいて分解する公式です。
アーベルの総和公式は以下のように表されます。
k=1∑nakbk=Anbn–k=1∑n−1Ak(bk+1–bk)
ここで
- ak は与えられた数列。
- bk は別の与えられた数列。
- Ak=i=1∑kai は数列 ak の部分和。
1.1. アーベルの総和公式のイメージ
アーベルの総和公式は部分積分と非常に似ています。

積分を部分和、差分を微分と考えれば対応しているように見えます。そう、直感的には部分積分の離散版の計算していイメージになります。
実際に、部分積分を離散化してみましょう。
∫fgdx=Fg−∫Fg’dx
積分を部分和、差分を微分として考えると
∑f(k)g(k) =F(n)g(n)−∑F(k)(g(k+1)−g(k))
ふゅか
まず、この公式は部分積分と似てるってところがポイント!積分が部分和、微分が差分に対応しているの!
2. 具体例
与えられた式を具体的な n の値で計算してみましょう。
はるか
2.1. n=1 の場合
- 左辺: k=1∑1akbk=a1b1
- 右辺: A1b1–k=1∑0Ak(bk+1–bk) ここで A1=a1 であり、∑k=10 は 0 です。 よって右辺は: a1b1 結果として n=1 の場合、左辺 = 右辺 となります。
2.2. n=2 の場合
- 左辺: k=1∑2akbk=a1b1+a2b2
- 右辺: A2b2–k=1∑1Ak(bk+1–bk) ここで A1=a1, A2=a1+a2 です。 よって右辺は: (a1+a2)b2–a1(b2–b1)=a1b2+a2b2–(a1b2–a1b1)=a1b2+a2b2–a1b2+a1b1=a1b1+a2b2 これにより、左辺 = 右辺 が確認できます。
2.3. n=3 の場合
- 左辺: k=1∑3akbk=a1b1+a2b2+a3b3
- 右辺: A3b3–k=1∑2Ak(bk+1–bk) ここで A1=a1, A2=a1+a2, A3=a1+a2+a3 です。 右辺を展開すると:
(a1+a2+a3)b3–{a1(b2–b1)+(a1+a2)(b3–b2)}=a1b3+a2b3+a3b3–{ a1b2–a1b1+a1b3+a2b3–a2b2}=a1b3+a2b3+a3b3–a1b2+a1b1–a1b3–a2b3+a2b2=a1b1+a2b2+a3b3
これにより、左辺 = 右辺 が確認できます。
3. アーベルの総和公式の証明
3.1. 式変形で求める方法
数列 Ak=i=1∑kai を用いると、ak=Ak–Ak−1 と表せます。これを利用すると、
k=1∑nakbk=(A1)b1+(A2–A1)b2+⋯+(An–An−1)bn
各項を分解してまとめると
k=1∑nakbk=A1b1+A2b2–A1b2+A3b3–A2b3+⋯+Anbn–An−1bn
ここで、Akで項をまとめると、
k=1∑nakbk=A1(b1–b2)+A2(b2–b3)+⋯+An−1(bn−1–bn)+Anbn=Anbn+k=1∑n−1Ak(bk–bk+1)=Anbn–k=1∑n−1Ak(bk+1–bk)
3.2. 数学的帰納法を利用した証明
はるか
数学的帰納法を利用して、アーベルの総和公式を証明してみましょう。
n=1 の場合
k=1∑1akbk=a1b1
A1b1–k=1∑0Ak(bk+1–bk)
ここで A1=a1 であり、∑k=10 は 0 です。したがって、
A1b1–k=1∑0Ak(bk+1–bk)=a1b1
したがって、左辺 = 右辺 が成り立ちます。
n=1 の場合に成立することが確認できました。
n=m の場合に
k=1∑makbk=Ambm–k=1∑m−1Ak(bk+1–bk)
が成り立つとします。
n=m+1 の場合、左辺は
k=1∑m+1akbk=(k=1∑makbk)+am+1bm+1
仮定を使うと、左辺は
k=1∑m+1akbk=(Ambm–k=1∑m−1Ak(bk+1–bk))+am+1bm+1
ここで、am+1=Am+1–Am であることから、
=(Ambm–k=1∑m−1Ak(bk+1–bk))+am+1bm+1=(Ambm–k=1∑m−1Ak(bk+1–bk))+(Am+1–Am)bm+1= Am(bm−bm+1)−k=1∑m−1Ak(bk+1–bk)+Am+1bm+1=Am+1bm+1−Am(bm+1−bm)−k=1∑m−1Ak(bk+1–bk)=Am+1bm+1−k=1∑mAk(bk+1–bk)
これにより、仮定が n=m+1 の場合にも成り立つことが確認できます。
n=1 の場合に成立し、n=m の場合に成立すると仮定して n=m+1 の場合に成立することを示したので、数学的帰納法より任意の n に対して与えられた式が成り立つことが証明された。
4. 計算例
4.1. 数列の例
次の数列に対してアーベルの総和公式を適応します。
- ak=k1
- bk=k
4.2. 実際の計算
部分和 Ak を計算します。
Ak=i=1∑ki1
差分 bk+1–bk を計算すると、
bk+1–bk=(k+1)–k=1
公式を適用すると
k=1∑nk1k=Anbn–k=1∑n−1Ak⋅1
つまり
k=1∑nk⋅k1=nk=1∑nk1–k=1∑n−1i=1∑ki1
となります。