【確率】余事象とは?意味と具体例について



1. 余事象
確率では、ある事象が起こらない場合を考えることがあります。この「ある事象が起こらない場合」を 余事象 と呼びます。余事象は、与えられた事象が起こらなかった場合に対応する事象です。余事象を考えることで、確率の計算が簡単になることがよくあります。
1.1. 余事象の基本
例えば、コインを投げたときに 表が出る という事象を考えてみましょう。このとき、余事象は 裏が出る ことになります。このように、ある事象が発生しない場合が余事象です。ある事象 \( A \) の余事象は \( \overline{A} \) と表されます。つまり、事象 \( A \) が発生しない場合を表す記号です。また、余事象のことを$A^c$と表すこともあります。
1.2. 余事象の確率
余事象の確率を計算する際には、次の関係式を使います。
\[ P(\overline{A}) = 1 – P(A) \]
ここで、\( P(A) \) は事象 \( A \) が発生する確率、\( P(\overline{A}) \) は事象 \( A \) の余事象が発生する確率です。
場合の数を利用して、実際に証明してみます。
$$\begin{align*} P(\overline{A}) &= \frac{\text{事象}\overline{A}\text{が起こる場合の数}}{\text{全ての場合の数}} \\ &= \frac{\text{全ての場合の数} – \text{事象Aが起こる場合の数}}{\text{全ての場合の数}} \\ &= 1 – \frac{\text{事象Aが起こる場合の数}}{\text{全ての場合の数}} \\ &= 1 – P(A) \end{align*}$$
2. 具体例


2.1. 例1:サイコロを振る場合
サイコロを振って、奇数 が出る確率を考えます。サイコロには 1, 2, 3, 4, 5, 6 の 6 つの目があり、奇数が出る場合は 1, 3, 5 です。奇数が出る確率は
\[ P(A) = \frac{3}{6} = 0.5 \]
このとき、余事象 \( \overline{A} \) は 偶数 が出る場合です。偶数が出る確率は
\[ P(\overline{A}) = 1 – P(A) = 1 – 0.5 = 0.5 \]
奇数が出るか、偶数が出るかは全体で必ず 1 になるので、余事象の確率も簡単に求められます。
2.2. 例2:袋の中のボール
赤、青、黄色のボールが 1 つずつ入った袋を考えます。この中から 1 つボールを取り出したとき、赤色以外 のボールを引く確率を求めます。まず、赤色のボールを引く確率 \( P(A) \) は
\[ P(A) = \frac{1}{3} \]
です。余事象 \( \overline{A} \) は「青または黄色のボールを引く」ことです。この余事象の確率は次のように求められます。
\[ P(\overline{A}) = 1 – P(A) = 1 – \frac{1}{3} = \frac{2}{3} \]