1. 2×2行列の逆行列の公式
行列 A=(acbd) は逆行列が存在するとき、逆行列 A−1 は以下で求められます。
A−1=ad–bc1(d−c−ba)
ふゅか
これ、元の行列の右下と左上を入れ替えて、斜めの要素の符号を逆にするんだよね!
はるか
そう。大事なのは、分母の「
ad–bc」が0じゃないこと。
1.1. 逆行列が存在する条件
2行2列の行列
A=(acbd)
に対して、次の値が0でなければ逆行列は存在します:
det(A)=ad–bc=0
この値「det(A)」は行列式と呼ばれます。
2. 単位行列のとの関係
行列 A とその逆行列 A−1には次のような関係が成り立ちます。
AA−1=I(単位行列)
実際に成り立つか確認してみましょう。A=(acbd)とします。
AA−1=(acbd)⋅ad–bc1(d−c−ba)
スカラー(定数)ad–bc1 は外に出しておきます:
AA−1=ad–bc1(ad+b(−c)cd+d(−c)a(−b)+bac(−b)+da)
項を整理して:
- 左上: ad–bc
- 右上: −ab+ab=0
- 左下: cd–cd=0
- 右下: −cb+da=ad–bc
つまり、
AA−1=ad–bc1(ad–bc00ad–bc)=(1001)
3. 例題:2行2列の逆行列を求めよう
行列 A が次のように与えられています。
A=(5321)
この行列の逆行列 A−1 を求めてください。
3.1. ステップ1:行列式(determinant)を計算する
det(A)=(5)(1)–(2)(3)=5–6=−1
→ 行列式が 0 ではないので、逆行列は存在します!
3.2. ステップ2:公式にあてはめる
2行2列の逆行列の公式は次の通りです:
A−1=ad–bc1(d−c−ba)
今回は a=5,b=2,c=3,d=1 なので、
A−1=−11(1−3−25)=(−132−5)